心理面を強化する基本的なテクニック

なぜ、緊張するのか?誰でも克服できるトレーニング方法

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講師の方や責任の大きな仕事を任されると緊張しますよね。しかし、人はなぜ緊張するのでしょうか。また、緊張しやすい人が克服するためにはどのようなことをしたら良いのか知りたい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、トップアスリートが本番で緊張しないために実際に行っているトレーニングを事例として挙げながら、「なぜ緊張するのか?」「どのようにしたら緊張を克服できるのか」について解説します。

この記事のゴール:なぜ緊張するのかを知ってトレーニングによって克服できるようになる

緊張するのは期待されていると思うから

なぜ、緊張するのか?を語る上では、他人からの評価に自分の意識が向いていることは避けて通れません。

他人からの最終的な評価に意識が向いてしまい、自分がやるべきことが明確になっていないことが緊張の原因です。

よくアスリートであるのは、負けたらどうしよう、ミスしたらどうしようといった失敗へ意識が向いてしまっていることです。

他人からの過度な期待は緊張を招く

他人から過度に期待されたとき、人は緊張します。

David Watson and Ronald Friend(1969)の研究結果によると、個人が失敗へ恐れるほど緊張し、その個人は評価されることを求めがちであると述べています。

つまり、他人の評価を気にする人ほど、失敗への恐れも高くなり結果的に緊張してしまうといった負の連鎖に陥ってしまうのです。

他人の評価ではなく、自分がやるべきことを明確にするためにはモチベーションを上げるための目標設定はかなり有効な手段です。

下記の記事を参考にしてみてください。

仕事で今すぐモチベーションアップしたい人がやるべきこととは?

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緊張した時には身体へ様々な反応がある

緊張した時身体への反応は様々です。例えば、主観的な反応としては下記の6つの反応が現れます。(有光・今田,1999)

  • 自己不完全感
  • 身体不完全感
  • 生理的反応
  • 責任感
  • 震え
  • 他者への意識

不完全感は、今まで自分が行ってきた準備への自己評価を指しています。自己評価が低い場合は、不完全感を感じやすいです。

生理的反応は、敦賀・鈴木の研究2)の中で、心拍数と最低・最高血圧を測定しています。心拍数は高まり、最低・最高血圧も緊張状態に陥ると上がることが報告されています。

心拍数の上昇や血圧の上昇にともなって、循環機能の働きが変わるため、手汗が出たり目線がきょろきょろしたり、慌てたようなそぶりをみせるようになります。

責任感が高い人は、悲観的な人が多く失敗への恐れを考えやすい傾向にあります。

このような反応が体の中では起きているので、深呼吸をすれば直る、手に人の文字を書いてのみ込めば緊張しなくなるといった安易な方法で緊張を克服できることはあり得ません。

緊張しているときのパフォーマンスは低い

緊張しているときのパフォーマンスが低いというのは、皆さんも経験があることが多いのではないでしょうか。

プレゼンテーションでガチガチのままやってうまくしゃべれない、試合で緊張していて体が思うようにうごかない、ミスを連発してしまうといったことはよくあることです。

緊張とパフォーマンスの関係には、逆U字仮説というグラフがあります。

このグラフでは、緊張しすぎた状態やリラックスしすぎた状態ではパフォーマンスが低く、適度な緊張感の時パフォーマンスが最も高くなるという仮説です。

しゃきしゃきな玉ねぎが一番おいしく、くたくたすぎたり生だとまずい現象と同じです。

しかし、こんな人もいるかもしれません。「たまねぎはくたくたがいい!」とか「たまねぎはしゃきしゃきに限る!」

まさにその通りで、適度な緊張というのは人によって違うんです。

この話はややこしくなるので別記事にしますが、適度な緊張状態が良いということは覚えておきましょう。

トップアスリートのための緊張克服へ向けたトレーニング

メンタルトレーニングでは、緊張克服へ向けたトレーニングが欧米を中心として行われています。

今回は、トップのスキープレイヤーの事例をHenrik Gustafsson et al. 3)の報告から取り上げます。

この文献では、認知行動療法をベースに緊張に対するメンタルトレーニングを行った実践例が掲載されています。

緊張を克服するための最初のコンサルテーション

最初のコンサルテーションのセッションでは、主に選手の課題点や問題点をヒアリングします。その段階から個別にトレーニングプログラムを計画するのが、スポーツ心理学のコンサルタントとしての仕事です。

17歳の女性スキーヤーに対する最初のコンサルテーションでは、「トレーニングが多すぎて張り詰めた空気になってしまっている。前回のシーズンでは初戦最下位ですごく最悪だった」とスキーヤーが述べたと報告しています。

この初めてのコンサルテーションの時に、彼女の緊張に課題があることをスポーツ心理学コンサルタントは発見しました。

緊張を克服するためのコンサルテーション①行動分析

行動分析では、主にスポーツ心理学コンサルタントによる行動のリスト化をしています。行動は緊張しているときとしていない時にどのような行動をしているか明確になるからです。このスキーヤーに対するコンサルテーションでは、アップヒルにおいてパフォーマンスが下がっていたことが明らかになったため、アップヒルへの対処をしたことが報告されています。

次に短期間と長期間の行動を分析し、結果と行動を比較したことも述べています。このときに最も効果的だったことは、アップヒルでペースを意図的に落としたことで緊張が少なくなったことが報告されています。

緊張を克服するためのコンサルテーション②心理的教育

心理的教育とは、心理学における知識をアスリートへ教育することで、主に講習会形式で行われることが多いです。

このスキーヤーに対しては、思考・感情・身体感覚と行動といったセッションが設けられ心理学の予備知識をスキーヤーに学んでもらったことを報告しています。

緊張を克服するためのコンサルテーション③身体感覚の語り

アスリートに対して身体感覚を語ってもらうことは、アスリートが身体を通して緊張を克服するうえでは欠かせません。

なぜならば、アスリートが語ることで身体感覚への多くの気づきが生まれ、アスリート自身で緊張に対する対処を考えられるようになるからです。

ビジネスパーソンに対しても、軍隊に対しても、「語り」は重要ですが、聞き手の高い専門性が求められます。

未熟な人が聞き手を行うと、アスリートのパフォーマンスが低下する危険性すらあります。

緊張を克服するためのコンサルテーション④評価

コンサルテーションは1日で終わるわけではなく、シーズンをかけてもしくは何年間もの間チームに帯同して行われます。

シーズン前とシーズンの最後に必ず行わなければならないのは評価です。

評価方法はさまざまですが、スキーヤーに対するコンサルテーションでは緊張に関する心理テストを実施しています。

STAI(State-Trait Anxiety Inventory)は、日本語で使える心理テストですので、緊張することが多いチームやプロジェクトなどでは測定してみても良いかもしれませんね。

緊張を克服するためのトレーニング方法

緊張を克服するためには、自分の捉え方をかえるようなトレーニングと、実際の身体の動きから緊張を和らげるトレーニングがあります。

ただし、緊張したときに使ってすぐに効果があるわけではなく、普段からトレーニングとして取り入れるからこそ効果がある方法だと思ってください。

メンタルトレーニングは魔法ではなく、筋力トレーニングなどと同じように「トレーニング」であることを忘れないでください。

緊張しにくくなるためのポジティブシンキング

ポジティブシンキングは、緊張を感じにくくするためには最も重要なトレーニングです。ここでいうポジティブシンキングは、他人からみてポジティブと思われることではなく、自分のモチベーションなどのエネルギーになっているかどうかが重要です。

ポジティブシンキングのトレーニングでは、下記のような手順を踏みます。

  1. 自分の考え方を分析する
  2. どのように捉えるとエネルギーになるか考える
  3. 何かがおこったときにエネルギーになるように捉えられるようになるまでトレーニングする

ポジティブシンキングのトレーニングでは、自分の今の考え方を受け入れることが重要です。

自分がどんな考え方をしているのか分析しましょう。

例えば試合の前やプレゼンの前にどんな考え方をしているのか?どのように考えたら自分のエネルギーにつながるのか。など一度自分の考え方を受け入れることが大切です。

そして、自分の中で捉えなおして、自然と自分のエネルギーになるような捉え方ができるようになれば考え方が変わります。

緊張感を和らげるアティテュードトレーニング

アティテュードトレーニングとは、態度をトレーニングすることをさします。人はネガティブなときは下を向いていることが多いでしょう。しかし、自分がやる気になったときや気分が良い時は顔を上げていると思います。

このように自分の態度と心はつながっているので、自分の態度を変える事で気分もコントロールすることができます。

自分が意図的に顔を上げるようにすれば、心がエネルギーで満たされやすくなります。

緊張をほぐすリラクセーショントレーニング

リラクセーショントレーニングは、人が呼吸をコントロールするトレーニングです。

憂鬱な時と気分が良い時の呼吸はみなさんどうですか?

おそらく、憂鬱なときは浅くて深い呼吸になっていたり、ゆっくりとした呼吸をしていたりする人が多いのではないでしょうか。

一方で緊張しているときは、浅くて速い呼吸をしていることが多いですよね。

このように、自分の状態と緊張は関係しているので、普段から呼吸に意識を向けることは、いざ本番となったときに緊張をコントロールできるでしょう。

緊張状態から集中しなおすためのアテンションコントロール

緊張状態のときは、注意が散漫になって集中力が低くなります。このとき、目の焦点はどこにあるのかわからないことも少なくありません。

意図的に目の動きをコントロールするアイコントロール法を行うことで、集中した状態になるため緊張感もほぐれます。

集中力を高める方法については下記を参考にしてみてください。

集中力を高める科学的なトレーニングについて解説!

緊張をエネルギーへ変えるセルフトーク

セルフトークは、独り言のことです。ゴルフ選手の上着の上にマイクを付けた実験では、パフォーマンスが高い人ほどポジティブなセルフトークをしていて、パフォーマンスが低い人ほど「まじかよ」「最悪」といったネガティブなセルフトークをしていた実験は有名です。

つまり、口から出る言葉がポジティブになると、緊張がエネルギーに変わるようになります。

そのためにも、ポジティブシンキングなどのトレーニングを日々実践してみてください。

まとめ

なぜ緊張するのかについては理解できましたか?

人が緊張するのは期待されていると思うからで、他人の評価や失敗への恐れが緊張を招いています。

緊張は体へ様々な反応を起こし、パフォーマンスを下げてしまいます。

欧米などでは、トップアスリートに対してスポーツ心理学のコンサルタントが専属で付いてコンサルテーションを行うことは一般的です。

2019年のラグビーワールドカップの日本代表に外国人のメンタルトレーニングコンサルタントがいたことは報道されています。

このような緊張を克服するためのトレーニング方法としては、ポジティブシンキングやアティテュードトレーニング、リラクセーショントレーニングやアテンションコントロールといった方法があります。

本記事を参考にして緊張を克服してみてはいかがでしょうか。

参考文献

1) David Watson and Ronald Friend (1969). Measurement of Social-Evaluative Anxiety, Journal of Counsulting and Clinical Psychology, 33 (4): 448-457.

2) 敦賀麻理子・鈴木直人(2005).「あがり」喚起時の精神生理学的反応の検討 感情心理学研究,12 (2): 62-72.

3) Henrik Gustaffson, Carolina Lundqvist and David Tod(2016). Cognitive Behavioral Intervention in Sport Psychology: A case illustration of the exposure method with an elite athlete Journal of Sport Psychology in Action, 8(3): 152-162.

私の活動について

私は、長年メンタルトレーニングアドバイザーとして大学生弓道部や中学生野球などのスポーツチームに対してメンタルトレーニングの指導と、大学院にて研究をしていました。

その中でスポーツの魅力を感じ、スポーツの価値を社会に広める活動をしています。

主に「競争を競創へ」をコンセプトに、アスリートのパフォーマンス向上モデルを社会人のパフォーマンス向上に寄与するプログラムを提供しています。

詳しくは下記のページをご覧ください。

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